「肘の痛みから引き起こされる肩の痛み」についてご紹介します。
肘の動きが悪くなる(関節可動域が小さくなる)と、その代償として肩関節の運動が増大するという報告があります。
*代償:本来使うべき体の部位にトラブルがある時に、別の部位が代わりに その役目を果たしていることをいいます。
肘の関節に運動制限があると、肩関節を過剰に使い 肩を痛める可能性が高まります。
肘を痛めているクライアントさんについては、肩も同時進行で慎重に評価するように心がけています。
文献:Cooper JE , Shweddyk E , Quanbury AO , et al . : Elbow joint restrictions : effect on functional upper limb motion during performance of three feeding activities . Arch Phys Med Rehabil 1993 ; 74 : 805-808
オスグッドについてご紹介します。
オスグッド(オスグッド・シュラッター病)は、スポーツをしている思春期のお子さんに多くみられる膝下の痛みで、成長痛と呼ばれることもあります。
男子サッカー選手240例(11~13歳)を対象にした研究によると、オスグッドを発症している選手は、大腿四頭筋柔軟性の低下(太もも前)、等速性膝屈曲筋力の低下(太もも後ろ)が見られると報告されています。
私のオフィスでは、上記の現象が起こる原因を膝関節にかかる負荷(膝関節伸展モーメント)の増大と考え対処します。
膝関節の負荷(伸展モーメント)を減らして、股関節の負荷(伸展モーメント)を増大する事を目的に、ハムストリングスや腹腔内圧上昇筋などのエクササイズを行って、膝関節にかかる負荷を減らしていきます。
文献:鈴木英一 , 齋藤知行 , 森下信 : Osgood-Schlatter病の診断と治療 . Osgood-schlatter病の成因と治療.予防 , 身体特性と成長過程の観点から . 臨床スポーツ医学 , 23 : 1035-1043 , 2006 .
脚の長さの違いについてご紹介します。
脚の長さの左右差を比較する場合、簡易的には腹臥位(うつぶせ)で、踵(カカト)の位置や踝(クルブシ)の左右差を見て判断します。
より正確に測定する場合は、ASIS(上前腸骨棘:骨盤にあるランドマーク)と踝の距離を測定して左右比較を行います。
機能的な脚の長さの違いは、歩き方や静止立位など全身に影響を及ぼします。
機能的脚長差を生じる因子は、骨盤の状態、仙腸関節の状態、股関節・膝関節の屈曲度・回旋の左右差、足関節の屈曲度・回内、回外など 複数あります。
当オフィスでは、脚の長さの違いを確認後、どの関節・筋肉が原因になっているのかを検査で判断して機能的な脚長差の改善を目指します。
文献:Magee DJ : Orthopedic Physical Therapy . Philadelphia : WB Saunders , 1997 .
野球選手の肘痛予防についてご紹介します。
15~37歳の野球選手29名を対象にした研究において、肘関節内側側副靭帯の機能不全とGIRDとの関連性が報告されています。
GIRDとは : glenohumeral internal rotation deficit(肩甲上腕関節内旋制限)
肩甲上腕関節内旋とは : 上腕を下垂(腕を自然に垂らした状態)で、親指が外側から内側に向く様に捻ることです。
肩を内側に捻る関節可動域が充分でないと 肘を痛めやすくなるという研究結果です。
肘痛予防にアームアクロスチェスト・ストレッチなど肩関節後部のストレッチを行いましょう。
アームアクロスチェスト・ストレッチとは : 一般的で簡単なストレッチです。肘を逆側の手で掴んで、反対側の肩に引き付けます。具体的には検索してみてください。
文献:Dines JS , Frank JB , and Yocum LA . Glenohumeral internal rotation deficits in baseball players with ulnar collateral ligament insufficiency . Am J Sports Med 37 : 566-570, 2009 .
抗重力筋についてご紹介します。
人間は重力の影響を受け続けていますので、重力に対抗する力を発生しないと立っている事ができません。
立位姿勢を保つために働く筋肉を抗重力筋と呼んでいます。
そもそも姿勢の成り立ちは、重力への適応ととらえることが出来ます。
代表的な抗重力筋は、長母指屈筋、母指外転筋、ヒラメ筋、腓腹筋、大腿二頭筋、大臀筋、小殿筋、腸腰筋、脊柱起立筋、外腹斜筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋などです。
ここで挙げた筋肉は、主に背面の筋肉になります。
多くの場合、直立姿勢における各関節は、筋肉の作用がないと体が前方に倒れるように配列されています。
姿勢を保つためには、背面の筋を使って前方に倒れようとする体を引っ張っている必要があります。
この姿勢維持の方式は、片張り綱方式と呼ばれることがあります。
文献:Asmussen , E . : The weight-carrying function of the human spine . Acta Orthop . Scandinav . , 29 : 276-290 , 1960 .
overuseについてご紹介します。
スポーツの現場でも よく起こるトラブルで、使いすぎ症候群と言われることもあります。
スポーツ動作のように同様の動作を繰り返し行う事で、特定の部位に負担がかかり様々なトラブルを起こしてしまう状態です。
使いすぎで起こるトラブルですので、スポーツを休むことも重要な選択肢の一つになります。
当オフィスでは、関節周囲の筋バランスを改善する事を重視しています。
overuseによって痛む筋肉は、多くの場合、浅層(体表に近い)のよく動く筋肉に起こります。
関節を安定化させている深層の筋肉と、よく動く浅層の筋肉の筋バランスを改善する事で、部分的に集中している力を分散させることを目的にアプローチします。
文献:黒田善雄ほか編 : 臨床スポーツ医学5 . スポーツ医学基本用語ゼミナール . 臨時増刊号 : 46-47 , 1988.
骨盤の最適位置(側方から見て)についてご紹介します。
骨盤の状態を側方から見て、前傾・後傾など骨盤の位置変化を判断します。
骨盤の理想的な位置(側方)を判断する場合、骨盤にある指標を使って判断します。
理想的な位置は、恥骨結合-上前腸骨棘が垂直で、下前腸骨棘-下後腸骨棘が水平とされています。
この見方は、レントゲンでないと見ることが出来ないので、私達トレーナーは身体の外側から判断できる上前腸骨棘-上後腸骨棘を指標にして判断しています。
この場合の理想は、上前腸骨棘より上後腸骨棘が、2~3指分高い状態を基準としています。
文献:Williams and Worthingham , C : Therapeutic Exercise for Body Alignment and Function , ed2 . WB Saunders , Philadelphia , 1977 .
ハムストリングス(太もも裏)の損傷リスクについてご紹介します。
ハムストリングスは、一度痛めると再発率が高く スポーツへの復帰を難しくします。
ハムストリングス損傷リスクを高める因子の一つに、大腿四頭筋(太もも前)の柔軟性低下があるという報告があります。
ハムストリングスの損傷予防の為には、ハムストリングスだけではなく、大腿四頭筋のストレッチも しっかりやりましょう!
文献:Gabbe , BJ , Bennell KL , Finch CF , Wajswelner H , and Orchard JW , Predictors of hamstring injury at the elite level of Australian football.Scand J Med Sci Sports16 : 7-13 , 2006
加齢による背中の曲がりは、まず胸椎の後弯変形が最初に起こり、
*背中の上の方が、最初に曲がり始めます。
その後、後弯(曲がっている)範囲が上下に広がり、曲がりの頂点が徐々に下(腰の方)へ移動していくという経過を辿ることが報告されています。
背中の上の方が曲がり出したら要注意です。
早目に専門機関に相談しましょう!
文献:勝田治巳ほか:老人の姿勢と体幹機能 . PTジャーナル,25(2) : 82-87,1991.
股関節の可動域が狭い方は、その動きを補うために、骨盤や腰椎を過剰に動かしてしまう可能性があります。
股関節の動きを必要とする動作(歩行、立ち上がり動作、しゃがみこみ動作など)で骨盤・腰椎の代償動作を繰り返すと慢性的な腰痛を引き起こす事があります。
文献:Gombatto SP,Collins DR ,Sahrmann SA, et al.:Gender differences in pattern of hip and lumbopelvic rotation in people with low back pain.Clin Biomech 2006;21:263-271.
私達は、3次元(縦・横・高さの3つの座標で表せる)空間にいます。
骨盤の空間上での位置を表現するためには、縦軸(垂直軸)、横軸(水平軸)、矢状軸、3つの軸から考える方法が不可欠です。
骨盤は様々な歪み方をします。
☆軸を中心に回転(前傾など)3自由度(三つの軸)
☆軸上を移動する並進(前方移動など)3自由度
合計6自由度あります。
更に、仙腸関節での変化(腸骨前傾・後傾など)があります。
これらの変化が複合的に起こりますので、複雑な変化を起こします。
文献:Dvir Z: Clinical Biomechanics . Philadelphia: Churchill Livingstone,2000
足を伸ばして(股関節伸展・膝関節伸展)腹筋運動を行うより、膝を立てて(股関節屈曲・膝関節屈曲)腹筋運動を行った方が 腰の負担が減る。
これは誤解です。
膝を立てる(股関節屈曲)ことで、股関節屈筋が緩み その作用が小さくなり、腰への負担が減る という考えがベースになっていると思われます。
しかし、腹筋運動における体幹拳上で 膝を立てていても、股関節は屈曲しますので股関節屈筋は働き、腰への負担に大きな違いはありません。
文献:McGill SM:The mechanics of torso flexion:situps and standing dynamic flexion manoeuvres.Clin Biomech 1995;10:184-192
立位にて骨盤を側方から観察する。
ASIS(上前腸骨棘)よりPSIS(上後腸骨棘)が2~3横指分高い状態をノーマルとする。
ノーマルよりPSISが高い場合を前傾、ASISが高い場合を後傾とする。
文献:Gajdosik R, et al : Pelvic test. Physical Therapy,65 : 169-174,1985
腸腰筋は、2つの筋肉(大腰筋・腸骨筋)の総称です。
両方の筋肉とも、股関節(足の付け根)の前を通っています。
大腰筋は、腰の骨 と 太もも前側 を結んでいます。
腸骨筋は、骨盤 と 太もも前側 を結んでいます。
両方の筋肉とも、股関節の屈曲動作(足の付け根が曲がる動作:もも上げ 前屈)に関与しています。
**もっと詳しく** *
腸骨筋
起始: 腸骨上縁・内面
停止: 大腰筋との共同腱によって大腿骨小転子、大腰筋内側
大腰筋
起始: 第12胸椎から第4腰椎の椎体・肋骨突起、第1~第5腰椎肋骨突起
停止: 腸骨筋と共同腱によって大腿骨小転子
*関与する動き 股関節の屈曲(前屈)動作に関与しています。
当オフィスでは商品販売は一切行いません
健康食品、健康器具などの商品販売は一切行っていません。
姿勢改善技術の追求に誰にも負けない努力を続け、純粋に姿勢改善ストレッチ・エクササイズのみを用いて姿勢改善を行うスタイルです。